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溶接マニュアル

健全な溶接部を得る為には、高品質ワイヤをご使用頂くことはもちろんのこと 「正しい材料選択」「正しい施工方法」が不可欠となります。 ここでは、アルミ溶接に付いて最低限知っておきたい基礎知識を紹介いたしますのでご活用ください。

溶加材選定表

JIS Z3604(2016)引用

母材 AC7A AC4D AC4C
ADC12
A7003
A7204
(A7N01)
A6061
A6005C
(A6N01)
A6063
A6101
A5086
A5083
A5056
A5154
A5254
A5454
A5052 A5005
A5110A
(A5N01)
A2219 A2014
A2017
A3004 A1200 A1100
A3003
A3203
A1070
A1050
A1070 A1050 ② ⑤
A4043

A4043
⑤ ⑥
A4043
②④⑤
A5356
⑤ ⑦
A4043

A5356
②④⑤
A5356
② ⑤
A4043
①④⑤
A1100
④ ⑤
A4145
A4145 ② ⑤
A4043
①④⑤
A1200
①④⑤
A1100
①④⑤
A1070
A1100
A3003
A3203
② ⑤
A4043

A4043
⑤ ⑥
A4043
②④⑤
A5356
⑤ ⑦
A4043

A5356
②④⑤
A5356
② ⑤
A4043
①④⑤
A1100
④ ⑤
A4145
A4145 ② ⑤
A4043
①④⑤
A1200
①④⑤
A1100
A1200 ② ⑤
A4043

A4043
⑤ ⑥
A4043
②④⑤
A5356
⑤ ⑦
A4043

A5356
②④⑤
A5356
② ⑤
A4043
①④⑤
A1200
④ ⑤
A4145
A4145 ① ④
A1200
①④⑤
A1200
A3004
A4043

A4043
A4043 ②③④
A5356
②③⑤⑦
A4043

A5356
② ③
A5356
②③④⑤
A5356
②③④
A5356
④ ⑤
A4145
A4145 ②③④
A5356
A2014
A2017
-
A2319
A4145 - A4145 - - - A4145
A4145

A4145
A2219
A4043
④⑤⑥
A2319
④ ⑤
A4145

A4043
⑤ ⑥
A4043
-
A4043

A4043
⑤ ⑥
A4043
④⑤⑥
A2319
A5005 A5110A (A5N01) ② ③
A5356

A4043

A4043
② ③
A5356
②③⑤⑦
A4043

A5356
② ③
A5356
②③④⑤
A5356
②③④⑧
A5356
A5052
A5356

A4043
②③⑤
A4043
② ③
A5356
②③⑤⑦
A4043

A5356
② ③
A5356
②③④
A5356
A5154
A5254
A5454
② ③
A5356
- ②③⑤
A4043
② ③
A5356
②③④
A5356
② ③
A5356
② ③
A5356
※1 この組合せは、常温及び低温で使用される一般的な溶接構造物を対象としたものであるが、使用温度が65℃を超える可能性のある場合には、A5356、A5183、A5556及びA5654の使用は避けたほうがよい。
※2 棒及びワイヤを示すBY及びWYは、省略した。
※3 母材のうち製造工程又は製品形状を表す記号は省略したが、 いずれの形状のものにも適用できる。

① A1100又はA1200を用いてもよい。
② A5356、A5556又はA5183を用いてもよい。
③ A5654又はA5554を用いてもよい。
④ 用途によってA4043を用いてもよい。
⑤ A4047を用いてもよい。
⑥ A4145を用いてもよい。
⑦ 陽極酸化処理後、色調差を生じてはならないときは、A5356を用いたほうがよい。
⑧ 母材と同組成の溶加材を用いてもよい。
⑨ A2319を用いてもよい。
A5086
A5083
A5056

A5356
- ②④⑤ A5356
A5356

A5356

A5183
A6061
A6005C
(A6N01)
A6063
A6101
②③④⑤ A5356 ⑤ ⑥ A4043 ②③⑤ A4043 ②③④⑤ A5356 ②③⑤ A4043
A7003
A7204
(A7N01)
② ③ A5356
A4043
②③⑤ A4043 ② A5356
AC4C
ADC12
②③⑤ A4043 ⑤ ⑥ A4043 ⑤ ⑧ A4043
AC4D - ⑤⑥⑧ A4043
AC7A ②③⑧ A5356
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溶加材の特性

溶加材 特製
1070 99.7%以上の高純度アルミニウムを溶接する場合、
溶接金属部も母材と同等の耐食性と延性が必要なときに用いられる。
1100 99.0%以上の純アルミニウム 及び 3000系合金の溶接材に適している。
溶接性と耐食性が良好で、延性、靭性とも優れている。
1200 同上
4043 溶接金属の高温割れに対する抵抗が強いので 高温割れを発生しやすい6000系熱処理合金 及び 鋳物合金などに用いられる。 溶接金属の延性、靭性が低く、陽極酸化処理を行った場合、 母材と異なった色調となる難点がある。
4047 同上
5183 5000系合金 及び Al-Zn-Mg系合金(7N01)材料の溶接材に適している。
溶接性が優れ機械的性質、耐食性ともに良好であり、延性、靭性に富んでいる。
5356 5000系合金 及び 6000系合金などの溶接において広範囲に活用されており、 Tiの添加により結晶粒を微細化し機械的性質の改善を図ったのが特徴である。
5183材に比べると耐力 及び 靭性がやや低い。
5556 溶接性、溶接継手の機械的性質が優れ、高い継手強度が要求される溶接構造物に適している。
5183材に比べると延性 及び 靭性がやや低い。

各種合金溶接部の機械的性質

溶接欠陥に対するアドバイス

Case.01

割れが発生した場合

母材と溶加材の組み合わせは合っていますか?
再度確認してみましょう。
溶加材選定は『材質選定表』をご参照下さい。
ルート間隔が広すぎていませんか?
ルート間隔をできる限り無くしましょう。
電流値が不足していませんか?
標準電流まで上げてみましょう。
溶接速度が速すぎていませんか?
標準速度まで下げてみましょう。
Case.02

ブローホールが発生した場合

母材、溶加材が汚れていませんか?
油汚れを除去しましょう。
電流値が不足していませんか?
標準電流まで上げてみましょう。
溶接速度が速すぎていませんか?
速度を調整しましょう。

ミグ溶接ワイヤの径ごとによる溶接電流範囲について(直流)

単位 A
JIS Z3604(2016)引用

ワイヤの径(mm) 0.6 0.8 1.0 1.2 1.6 2.0 2.4 3.2
溶接電流範囲 20~50 40~100 (60) (80) (100) 200~430 250~500 350~650
70~180 110~250 150~350

※括弧内は、パルス溶接時の最低電流を示す。

Case.03

ビードが汚れてしまった場合

アルゴンガスによるシールドが不足していませんか?
  • 1.アルゴン流量を増やしましょう。
  • 2.アーク長を短くしましょう。
  • 3.傷んだノズルは交換しましょう。
  • 4.コンタクトチューブの芯を出しましょう。
  • 5.トーチ角を小さくしましょう。
  • 6.空気や水の流れを確かめましょう。
母材、溶加材が汚れていませんか?
油汚れを除去しましょう。
厚い酸化膜に覆われていませんか?
化学洗浄やステンレスブラシで取り除きましょう。

母材の前処理方法

1. 機械的方法
有機溶剤か又はそれに劣らない方法による脱脂後、清浄なステンレス鋼製細毛ワイヤブラシ で強く研磨するか、又はそれに劣らない方法で酸化皮膜を除去する。材料の表面状態によって、 脱脂だけ又は酸化皮膜除去でもよい。

2. 化学的方法
アルカリ性エッチング溶液に30~60秒間浸して水洗いし、次に約15%硝酸(常温)に 約2分間浸し、水洗い後、温湯で洗い十分に乾燥させるか、又はそれに劣らない方法とする。

Case.04

バーンバックが発生した場合

電流に対して線の送りが不足していませんか?
線の送りを上げてみましょう。
送給経路が長すぎていませんか?
送給経路を限りなく短くしましょう。
ライナーが傷んでいませんか?
ライナーを交換しましょう。
送給ローラーの圧力が低すぎていませんか?
圧力を調整しましょう。
コンタクトチップの端にスパッターが付着していませんか?
チップに付着したスパッターを取り除きましょう。
コンタクトチップにスパークが飛ぶ場合
チップの寸法を調整しましょう。
トーチが異常に過熱していませんか?
トーチの冷却状況を確認してみましょう。